現在では、斎場で行う葬儀が多くなっているため、お通夜も従来の形式とは異なってきています。本来お通夜というのは、看病の延長であると考えられており、食事を出すなどして、故人が生きているときのように振る舞い、そばにいるのが普通のことでした。
それが今では弔問の役割を果たすようになっています。しかし地域によっては、本来のお通夜の形式で、今でも葬儀の際に行われているようです。埼玉県でも県内のほとんどの地域で、お通夜に参列してくれた人に軽い食事やお酒などを出す通夜振舞いが行われています。
遺族に通夜振舞いの案内をされてどうしたらいいのかわからないといった声もあるようですが、これはあくまでも故人に対する供養の形なので、遠慮する必要はありません。むしろ断るほうが失礼にあたると心得ておくべきで、勧められたら箸をつけ、故人の冥福を祈っていただくことが礼儀だといわれています。
冠婚葬祭においては、日常で知らず知らずのうちに習慣化しているしきたりが多く見られます。おめでたい席であれば多少の勘違いなどは笑って済ませることもできるかもしれませんが、葬儀などでは、悲しみを余計に深くすることにもなりかねません。
故人に安心して旅立ってもらうためにも、風習やしきたりというのは、きちんと把握しておいたほうが良いでしょう。埼玉県では、一部の地域ながら、葬儀において今の世の中では少し驚いてしまうような風習が今でも残っているところが存在しているようです。
男性の参列者には額につける白い三角巾が配られるので、それを身につけて参列することになっています。そして全員に金剛杖が配られます。白い三角巾はかんむりと呼ばれ、これと金剛杖はもうこの世のひとではなくなってしまった故人と同じ格好をすることを意味しています。
そして、途中まではお見送りしますよという意味も込められているといわれています。